今回、登場いただくのは、京都府北部の観光地「天橋立」に立地する「文珠荘 松露亭」。
料理長の武本元秀さんにお話しをお聞きしました。
グループの宿のそれそれの魅力を料理で表現する
文珠荘グループには3つの宿(文珠荘・文珠荘松露亭・対橋楼)があり、武本さんは文珠荘グループの総料理長としてそれぞれの宿に応じた異なる魅力を料理で表現されていらっしゃいます。
武本さんが現在の職に就いたのは、手に職をつけたいという思いから料理人を志したといい、神戸・有馬・東京で経験を積み、この旅館で働き14~15年ほどたつと話されました。「松露亭」が建つ天橋立は、トリガイ、カニ、アオリイカ、アマダイなどの恵まれた海の幸に加え、地元の野菜やお米もとても美味しいとのことで、地産地消をモットーに地元の食材を大切にしていると語られました。
将来の料理人を育成する
武本さんは、2018年度厚生労働省認定「現代の名工」を受賞されており、若手料理人を増やしていきたいという思いから、地元の高校に出向いて生徒たちに料理の素晴らしさを伝えたり、旅館の若手料理人の指導にも力をいれておられます。「若手をサポートして、一人前に育てていきたい」と語る武本さん。次世代の育成にも熱心に取りくんでいらっしゃいます。
お客様にあわせて料理で物語をつくる
武本さんに料理において工夫されていることをお聞きすると、「料理にメリハリをつけ、印象付けるように工夫しています」と話されました。その日のこだわりは何かをイメージしながらアレンジし、お客様からの問いを想定しながら料理に自分なりの物語を作っていらっしゃいます。
例えば、カニのコースにおいては、まずお客様に調理前のカニの姿を見ていただき、お客様の要望をお聞きして、お客様に調理方法をチョイスしていただくなど、料理を通してお客様とコミュニケーションを図られていらっしゃいます。
「奇跡の宿」を従業員全員で守っていく
今回取材させていただいた「松露亭」は「ストレスを感じさせないおもてなしを提供する別荘」というコンセプトがあり、全従業員が協力してお客様のゆっくりとくつろいでリラックスしていただける空間を大事にしているそうです。
チェックイン後、まずは玄関横にあるお部屋にご案内し、お茶と天橋立名物の智恵の餅を味わっていただきます。このお部屋の一面の曇りのない窓ガラス越しには廻旋橋と松林が見え、自分がまるで自然の中にいるかのような気分を味わうことが出来ます。
浴室前の廊下には、北山杉の磨丸太を使用しており、木の質感を足裏で感じていただけます。この旅館にはスリッパがなく、従業員皆で手拭きを毎日行っているそうです。
この宿の立地は海抜0Mでありながら、台風などが来てもなぜか大潮満潮であっても波が打ち寄せることもなく、宿泊いただいたお客様からも、文珠様から守られた宿だと言われることもあるそうです。
武本さんはこの宿を「奇跡の宿」とおっしゃり、お客様が過ごされるこの癒しの空間を従業員全員で守っていきたいと語られました。
雲井の間
取材の際にお通しいただいた「雲井の間」は、両サイドに阿蘇海と松林が見える贅沢なお部屋で、宿名の「松露亭」という名前をつけた藤本義一氏がよく宿泊されていた部屋とのことです。庭には自由にできることができ、目前にひろがる海の波の音や船の音、鳥のさえずりを聞きながらゆったりとした時間を過ごすことが出来ます。
文珠荘 松露亭
〒626-0001
京都府宮津市天橋立文殊堂岬
TEL:0772-22-2151
https://shourotei.com/