〜 JRおすすめ北近畿の宿 〜
日本夕陽百選の宿 三七十館

今回登場いただくのは、兵庫県香美町の海に沈む夕陽を見ることが出来る高台に建つ「三七十館」。

女将の小柴清美さんと若女将の赤松奈美さんにお話しをお聞きしました。

 

魅力ある地元の食材

■家族経営から始まった旅館

町内にあるお寿司屋「三七十鮨」は小柴社長のお母様が始められました。旅館業を営む前は、家族皆でそのお寿司屋を手伝っていたと語るのは女将さんです。同じ日本海に面した米子から嫁いで来られた女将さんは香住の魚介類は群を抜いて新鮮さが違うとおっしゃいます。ここでしか食べられない新鮮な食材をお泊りでゆっくりと味わっていただきたい、そしてその食材を美味しい食べ方で召し上がっていただきたい、という強い想いで小柴社長が旅館を始められました。三女である赤松さんも、小さい頃からお寿司屋や旅館のお手伝いをし、食べにいらっしゃる地元の方や漁師さんとお話しするのが楽しく、接客することが好きになったとおっしゃいます。

料理にこだわる

三七十館のお客様はリピーターのお客様が多く、毎年季節に応じて旬な食材を求めにいらっしゃいます。取材時のシーズンはちょうど活イカの時期であり、既に完売した後で水槽にはイカはいませんでした。鮮度が命であるイカは水槽で泳がしていても鮮度が落ちるため使用する分しか仕入されません。女将さんは、この旅館では活イカではなく「泳ぎイカ」「香住クリスタル」と呼んでいると話されます。社長を中心にスタッフの方たちと考えた7種の食べ方を取り入れた「香住クリスタルキングプラン」はお勧めプランの一つ。その他にも自慢する食材をふんだんに使ったプランがあり、毎回スタッフとアイデアを出し合って自分も食べたくなる食材と料理を組み入れます、と女将さんは話されます。地物である海の幸、山の幸の他にも卵にも拘っていらっしゃり、「初たまご」という若鶏が初めて産んだ卵をわざわざ九州から取り寄せていらっしゃいます。女将さんのご厚意で試食させていただきましたが、ぷっくりしたオレンジがかった夕陽のような黄身は、甘くコクのある濃厚な味わいでした。

お客様に喜んでいただきたい

■自分たちが出来ること

若女将である赤松さんは、小さい時から人に感謝することができる方で、人を笑顔にしたり、人に感謝されたり、この仕事を通して自分自身も成長できるとおっしゃいます。

二十歳の頃に「かすみ香りレディー」をされていて、色々な土地やイベントに行っては香美町の観光PRに努めていらっしゃいました。その経験もあり、地元や地域との関わり合いをとても大切にされています。一年通して恵まれている香住の自然や食材の素晴らしさに癒されて、笑顔で「また来るね!」っと言っていただけるような接客を目指しています。リピーターのお客様の浴衣サイズや好きなビールの銘柄、お子様の名前や食べ物の好き嫌いやお誕生日などを覚え、お客様との触れ合いを大事に記録されています。赤松さんだから出来るきめの細かい心配りだと思いました。

女将さんは、一人ひとり好みが違うため、その方にあった好みのものを提供したいとおっしゃいます。一対一の接客に拘り、カップルであっても別のコースを出したりと出来る限りの配慮をされています。また、雑炊にしても固めなのか柔らかめなのか、おこげが好きなのかなどお客様のオーダーを聞き、絶妙なタイミングを見逃さないようお客様のお傍でもてなす女将さんの魅力に、誰もが惹かれ、女将さんに会いたくていらっしゃるファンもいるほどです。そのため、フロント横には毎年いらっしゃるリピーターのお子様からの絵が飾られていました。

接客は目立つ仕事だけど、それを支えてくれるスタッフにはいつも感謝していると女将さんはおっしゃいます。掃除する人や料理人の方々とは常にミーティングを行い、意見やアイデアを出し合いながらより良いものにしていこうと取り組まれています。取材日も掃除するスタッフへの労りのお声かけする姿を見て、女将さんの優しさが伝わりました。

従業員からみたおすすめポイント

海に沈みゆく夕陽

香住海岸は日本の夕陽百選に選ばれた場所であり、三七十館は海岸近くの高台にあるため海に沈みゆく夕陽を眺めることができます。今年の6月に3つの展望風呂付きのお部屋がリニューアルされました。こちらのお部屋からでも夕陽を眺めながらゆっくりと温泉に浸かることが出来ます。また、日本海が一望できる大浴場の壁には特別にデザインしてもらった出石焼のタイルがはめ込まれています。

魚拓

三七十館の玄関を入るとまず目に飛び込んでくるのは、大きな魚の魚拓です。イシナギと呼ばれるスズキの一種で、26年前に近くの海岸で小柴社長が釣り上げたそうです。見ごたえある魚拓はフロントの上に掲げられていました。旅館にいらっしゃるお客様は真っ先にその魚拓を目にして、感嘆の声をあげられるようです。

施設情報
日本夕陽百選の宿 三七十館
にほんゆうひひゃくせんのやど みなとかん

「日本夕陽百選の宿」三七十館

〒669-6541 兵庫県美方郡香美町香住区境906

Tel:0796-36-3330

http://www.minatokan.jp/